マウスピース矯正の中でも代表的なもののひとつが「インビザライン」です。
基本的に自費診療になるため、歯列全体を整える全体矯正の場合は80万円~100万円することが多いです。
※費用は目安です。これ以上になる場合もあります。
一方で、近年は低価格でマウスピース矯正を行えるサービスも増えてきました。
では、インビザラインと格安マウスピース矯正は何が違うのでしょうか。ここでは両者の特徴や違いを整理し、日本矯正歯科学会の見解も踏まえてご紹介します。
目次
■インビザラインとは?
◎世界で広く使われているマウスピース矯正
インビザラインは、米国アライン・テクノロジー社が開発した透明なマウスピースを使用した矯正システムです。
これまでに世界で1,500万人以上(2024年時点)が治療を受けており、膨大な臨床データに基づく高い精度で治療を行える点が特徴です。
◎治療の仕組み
専用スキャナーで歯列を3Dデータ化し、これまでに治療を行ってきた方のデータと歯科医師の診断を組み合わせで治療計画を立てます。
その後、段階的に形の異なるマウスピースを交換しながら、少しずつ歯を動かしていきます。軽度から重度まで幅広い症例に対応可能で、抜歯が必要な複雑なケースにも適応できるのが大きな強みです。
■安いマウスピース矯正とは?
◎部分的、軽度の矯正に限定されることが多い
一般的に安いと言われるマウスピース矯正は、主に前歯の軽度な歪みや隙間の改善に用いられることが多いです。治療期間が短く、費用も抑えられる点がメリットです。
◎サービス内容の特徴
格安となる理由としては、通院回数を少なくする仕組みや、治療範囲を部分矯正に限定している点があります。
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オンライン診療が中心で、医院への通院が最小限
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軽度な歯並びの改善を対象にしている
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治療後のフォロー体制が十分ではないケースがある
といった特徴が見られます。
■インビザラインと安いマウスピース矯正の違い
◎対応できる症例の幅
インビザラインは全体矯正から部分矯正まで幅広い症例に対応可能です。
噛み合わせや顎のバランス改善も含めた本格的な矯正ができます。
※部分矯正に対応しているかは歯科医院によって異なります。
対して、安いマウスピース矯正は前歯の歯並び改善に限られる場合が多く、大きな噛み合わせの改善には対応できない場合があります。
◎治療計画と精度
インビザラインは世界中で蓄積されたデータをもとに緻密なシミュレーションを行い、治療を進めていきます。
格安マウスピース矯正では使用するシステムやアルゴリズムが異なり、治療計画の精度や対応力に違いが出る場合があります。
◎費用と治療範囲
インビザラインは全顎矯正で80万〜100万円前後が一般的です。
一方、安いマウスピース矯正は10万〜30万円程度で提供されるケースもあります。ただし、費用が安い分、治療範囲や治療内容が限定される傾向があります。
◎通院とフォローアップ
インビザラインは歯科医院での定期的な通院を前提にしており、歯の動きに合わせた調整やトラブルにも対応が可能です。
格安マウスピース矯正ではオンライン診療中心のものもあり、緊急時の対応や治療中の細かい調整に制限がある場合があります。
■日本矯正歯科学会の見解
◎明らかに安い格安マウスピース矯正への注意喚起
日本矯正歯科学会(JOS)は、2022年に「安価なマウスピース矯正」に関する見解を発表しています。
そこでは「医療機器として認められていない機器で作製されたアライナー(雑品)」の矯正治療についてや「歯科医師による適切な診断・管理を伴わない治療はリスクがある」と注意を呼びかけています。
◎患者さんへの影響
歯並びの一部だけを動かすことで、かえって噛み合わせに不具合が出る可能性があるとも指摘されています。
矯正治療は見た目だけでなく、咀嚼や発音など機能面も大切なため、必ず歯科医師の診断と継続的な管理を受けることが重要です。
※マウスピース型矯正装置による治療に関する見解 | 公益社団法人 日本矯正歯科学会
【矯正治療は価格だけでなく中身も重要】
インビザラインと安いマウスピース矯正は対応できる症例や治療精度、通院体制などに大きな違いがあります。
どちらが適しているかは、歯並びの状態や治療の目的、患者さんの希望によっても異なります。
費用面だけで判断するのではなく、後悔のない治療のために信頼できる歯科医院で相談し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
当院ではインビザラインでの矯正をはじめ、矯正相談も承っております。ご不明な点があればお気軽にご相談ください。